「役立たず」と死の森に追放された私、最強竜騎士に拾われる~溺愛されて聖女の力が開花しました~

(この人はリュースを戦争に連れ出そうとするひどい人なのに)

 そんな思いを消しきれないが、助けてもらったのは事実だ。

 エレオノールはジークハルトに向かって素直に頭を下げ、感謝を示した。

「助けてくださってありがとうございました。お礼を言うのが遅くなってしまい、申し訳ありません。あの時のことはよく覚えていなくて……」

 丁寧に言ったにもかかわらず、ジークハルトからの返答はない。

 訝しく思ったエレオノールが顔を上げると、ジークハルトはなにか言いたげな表情で唇を引き結んでいた。

(迷惑をかけたから怒っている……?)

 じっと見つめてくる視線が痛い。