「役立たず」と死の森に追放された私、最強竜騎士に拾われる~溺愛されて聖女の力が開花しました~

 逆光でよく見えないその人は、エレオノールの瞳に黒い影のように映る。

「こんなところでなにを……」

 異音を耳にして倉庫を開けたジークハルトは、開けてすぐの距離に座り込み、涙に濡れた顔でうつろに見上げてくるエレオノールを見て息を呑んだ。

「あ、ぁ」

 エレオノールは誰が助けに来てくれたのかわからないまま、膝をついて様子を窺おうとしたジークハルトにすがりついた。

「おい、落ち着け」

 驚いたのはジークハルトだ。

 エレオノールが突然抱きついてきたうえ、胸に顔を押しつけて泣きじゃくりだしたのだから。

「ごめ……ごめんなさい……いい子にするから……」