「役立たず」と死の森に追放された私、最強竜騎士に拾われる~溺愛されて聖女の力が開花しました~

 そうして出来上がった拙い刺繍入りハンカチを渡されたラフィエット伯爵は、絵本と違って笑顔を浮かべるどころか激しくエレオノールを罵った。

『ごめんなさい、ごめんなさい……! ぎゅってしてほしかっただけなの! もうこんなことしないから! いい子にするから……!』

 伯爵の怒りを買った結果のお仕置きは、屋敷の地下室に一日中閉じ込められること。

 四方から迫る暗闇と恐怖に怯え、幻覚と幻聴に襲われたエレオノールが地下室を出された時、その顔は涙でぐちゃぐちゃになっていた。

「……ごめ、ん……なさ……い……」

 あれから十年以上経っているのに、エレオノールはここにいない父に向かって言う。