「役立たず」と死の森に追放された私、最強竜騎士に拾われる~溺愛されて聖女の力が開花しました~

 手が痛くなるのもかまわず、半ば半狂乱になって叫ぶも、やはり誰も応えてくれない。

 目の前さえよく見えない暗闇にいつまでも目が慣れず、やがてエレオノールはその場にへたり込んだ。

「どうして……」

 先ほどとはうってかわって弱々しく扉を叩きながら、小さく声を上げる。

 次第にその音の間隔が開いたかと思うと、エレオノールは膝を抱えて震え始めた。

(違う。ここは――”あの地下室”じゃない)

 違う、違う、と何度も自分に言い聞かせているのに、刻まれた恐怖がよみがえる。

 あれは何歳の頃だったか。

 少なくともエレオノールが伯爵家を追放される前だから、七歳よりも以前の話だ。