なにも言わずに入るのも気まずい気がして、小声で言いながら暗い倉庫に足を踏み入れる。
倉庫といっても中に収められているのは食糧だけだ。
それほど大きくはなく、代わりに地面を掘って作った地下室がある。そこの温度は低く、悪くなりやすいものを保管していた。
「運んだばかりなら、手前にありそうだけど……」
外よりもひんやりした空気に身体を震わせながら、エレオノールは小麦の入った袋を探し始める。
その身体が充分倉庫の奥に入った時だった。
ぎぃっとなにかを引きずるような音がした後、ばたんと勢いよく扉が閉まる。
「えっ、嘘。待って!」

