「役立たず」と死の森に追放された私、最強竜騎士に拾われる~溺愛されて聖女の力が開花しました~

 鈴を転がすような美しい声も、赤面しながら浮かべた甘い笑みも、帰城してからずっとジークハルトの胸を疼かせていたから、理由をつけてまで会いに行ったのだ。

 それなのに、今のジークハルトとラスの関係は奪う者と奪われる者になった。

(もう彼女が俺に笑いかけることはないだろう)

 ジークハルトは自分の両手を見下ろし、苦い息を吐いた。

 腕の中には、シュルーシュカに騎乗した際、抱き支えたぬくもりが残っている。

(俺は俺のすべきことをするだけだ)

 ジークハルトは複雑な感情を忘れようと相棒の手入れに精を出すことにした。

やがて尾の手入れに移行した頃、竜舎に使用人がやってくる。