「くれるんですか?」


「これ、お気に入りだからあげられないんだ。



…だからまた。
青野に、会いに来てもいい?」



私を好きだと言ってくれた青野の想いには、到底足りないと思うけど。
…それでも、なにか理由をつくってでも会いたいって思うのは、恋しいってことなんじゃないかな。



「……春さん、キスしていいですか」


「えっあの」



「やっぱり答えはいいです。キスします」



思わずぎゅっと目をつぶると頬にあたたかくて柔らかい感触がした。


目を開けると顔を真っ赤にして、見たことがないほどの笑顔で私を見つめる青野がいる。



「本当のキスは春さんが好きだって言ってくれたときに、取っておきます」


…なんて言う青野のことをもうすでに、好きになりかけてるってことは。

これ以上積極的にこられると心臓がもたないので、もう少しだけ言わないでおこう。