臣が中学に入学してしばらく経った頃。

『あの人? 臣くんの幼なじみって』

二年の教室に一年生の女子がのぞきに来た。

一時期はいろんな子が入れ替わり立ち替わり毎日のように。
臣の幼なじみのわたしを見に。


『モテる幼なじみを持つと大変ね〜』

友だちにからかわれる。

だからって、どうしてただの幼なじみのわたしなんかを見に来るんだろうって思ってたら、女の子たちの声が聞こえてきた。

『全然フツーじゃない?』

『でも、臣くんは〝この学校で一番かわいい〟って言ってたよ』

は!? ちょっと臣!
変なこと言わないでよ!


『でも年上でしょ? 臣くんは〝年上は好きじゃない〟って』


わかってるもん。

わたしはただの、〝一個上の幼なじみ〟だって。

たまたま家がとなりだっただけだって。


だけど、たまたま何時間か早く生まれただけで年上になっちゃっただけなんだよ。