シュガーコート

 自分がうまくいかない理由をちかちゃんのせいにしようとしていることに、オレは苛立ちを覚えた。

「ていうかそもそもそのギクシャクにちかちゃん関係なくない?」

「そうかな。でもほら、千花ちゃんてわたしの彼氏のことが好きだから。わたしたちの関係が悪くなって喜ぶのは千花ちゃんなんじゃないかって」

「ちかちゃんがそんなこと喜ぶわけないだろ。友達なのにそんなことも分からないのかよ」

 生い茂る木々からパラパラと雨粒が落ちる。

 互いに言葉を発さない静かな時間が流れた。

 その静寂を破ったのは彼女だった。

「千花ちゃんのこと信じてるんだね。そんなに一途に。うらやましいなあ。私も佐藤くんみたいなひとを好きになればよかったのかな」

 口先だけ甘いことを言っているが目が笑っていない。

 彼女はこりずにオレに近づこうとし、オレは再び距離をとった。

「ねえ、千花ちゃんはまだ先輩のことが好きだと思わない? こうなったらもうわたしと先輩が別れて、千花ちゃんと先輩がつき合えばいいと思うの。だから佐藤くん、千花ちゃんのことは諦めて? よかったらわたしと――」

「オレ、あんた全然タイプじゃないから」

 おかしな提案をされる前に断りを入れると、相手の顔がぴくりと歪む。