「なに、やってんの……? 傘は?」
「うん。わたし栗本ひなた。ちゃんと話すの初めてだね」
会話になっていない。
彼女は答えにならない返事をしてオレに一歩近づく。
それを見てオレはジリッと一歩後ろに退いた。
「相談したいことって?」
嫌な予感がする。相手の雰囲気にのまれないようにオレは話を切り出した。
彼女は距離を保つオレになんの感情もない目線を送りながら答える。
「佐藤くん、最近千花ちゃんと仲良いよね」
(ホラきた。オレの悪い予感は当たるんだ)
いつもなら適当にあしらって終わる。けれど彼女はそうさせないオーラを放っていた。
その無邪気な笑顔には隠しきれない裏を感じる。
次に、彼女は雨に打たれながら悲しげな表情を浮かべた。
「実はわたし、最近彼氏とうまくいってないんだ。一度公園で会ったよね? バレー部の先輩なんだけど。話してても話題が千花ちゃんのことになっちゃう。それが嫌だって言ったらギクシャクして。もしかしたら彼と千花ちゃん、陰で繋がっててわたしのこと悪く言ってるのかも……。千花ちゃんからなにか聞いてない?」
「ちかちゃんは陰口なんて叩かない」
突然始まった恋愛相談をピシャリと一刀両断する。


