「もしかして、ラブレター?」
そのあまりにも的はずれな指摘に、オレはこころの中でのたうち回った。
(あー! 無理無理! かわいすぎるだろ!)
と 叫び出したくなるのをグッとこらえ、表面上はなんでもないように話を続ける。
「あ、これ? ううん。朝来たらげた箱に入ってたんだけど、なんかダジャレが書いてあった。ただの悪ふざけだよ」
「ダジャレ?」
コピー用紙をぐしゃっとさらに握りつぶすと、ちかちゃんは一瞬目を丸くしたがすぐになにかを納得した表情を浮かべた。
「気になった?」
「え?」
ちかちゃんがあまりにもかわいいから、オレだけ乱されるのが癪でついイジワルしたくなってしまう。
「もしオレがラブレターもらってたらって。気になった?」
「な、べ、別に……そんなこと」
ない。
と言い切らないのが優しい。
(だからオレみたいなのにつけ込まれるのに)
むむっと唇を引き結んでしまうちかちゃんに、オレはたまらず笑みを浮かべる。
(ああ、ほんとうに)
(好きなんだよなあ)
そして、ちかちゃんの耳元に口を寄せて囁いた。
「言い忘れてた。おはよう」
「〜〜〜ッ!! おはよっ!!」
ちかちゃんは持ち前の運動神経を見せつけるかのように一瞬でその場からいなくなってしまった。
少しイジワルしすぎたかと反省しながら、オレは手の中の紙クズを握りしめる。
さあ、どうしようか。
近づくなと言われて素直に従うつもりは最初からないのだ。


