シュガーコート



 そんなことを考えている間にも生徒たちが登校してくる。朝から続く重たい雨のせいで周囲がいつもよりうるさい。

 その喧騒に混ざった背後の気配に気づくのが遅れた。

「佐藤く、」
 
「わあっ!」

 突然かけられた声にオレは驚いて飛び上がり、手元のコピー用紙をぐしゃっと握りつぶしてしまった。

 振り向くとそこには困った顔をしたちかちゃんがいた。雨に濡れてしまったのか全体的にしっとりとしている。

 オレは飛び出そうになった心臓をなんとか飲み込んでちかちゃんに答えた。

「ちかちゃん! びっくりしたあ」

「うん、おはよう……? それ大丈夫?」

 ちかちゃんが指さす先には例のコピー用紙。オレは内容が見えないように手のひらの中に丸めて、さりげなく背後に隠した。

 それを見たちかちゃんの眉毛がハの字になる。なにかを思案しているときの表情だ。

(どうにか……うまいこと勘違いしてくれないかな)

 内容が内容だけに、いくらちかちゃんでも追及されたくない。そんな思いが届いたのかちかちゃんはピンとひらめいたように言う。