シュガーコート

 わたしは身を縮めて椅子を引き、佐藤くんから距離をとる。

「じ、冗談だよね。いまはそういうのやめてほし……」

「冗談? まさか」

 わたしの精一杯の拒絶は食い気味に否定されてしまう。

 佐藤くんはわたしの机に手をついて、真面目な表情で言った。

「好き」

 それはいままで聞いたことのない、信じられないような重さを感じさせる響きだった。

 佐藤くんは真剣で――でもどこかすがるような表情を浮かべている。

 わたしはそんな佐藤くんから目を離せず、なにか言わなきゃと必死に口をぱくぱくさせた。

(わたしは先輩のことが好きで、でも先輩はひなたを選んだ)

(失恋したばっかりなのに、佐藤くんの言葉で気持ちがぐちゃぐちゃになる)

(彼はほんとうにわたしのことが好きなの?)

(どうしよう、頭まっ白でなにも答えられない!)