「ね、ねえ。どうしてわたしにこの温室を見せてくれたの?」
「んー……? そうだなあ。ここはオレを構成するものの一部だから、かな」
佐藤くんはしゃがんで足元の花壇に咲く花を見つめる。わたしもつられて同じようにしゃがみ込んで、佐藤くんの横顔を見た。
(うう、この横顔美人め……)
伏せた目が長いまつ毛で影がかかるのがあまりにもきれいで、わたしはこころの中で悶え苦しむ。
「ここはオレの小さいころからの逃げ場所だったんだ。家から少し離れてて、大人の目を避けるのにちょうどよかった」
「そう、だったんだね」
「はは、カッコ悪いよね。でも、前も言ったけど、オレはちかちゃんのこともっと知りたいし、オレのことも知ってもらいたい。いいところも悪いところも全部」
繋がれたままの手にぎゅっと力が込められる。少し差のあった体温は、時間をかけて分かち合って同じくらいになっていた。
わたしは佐藤くんの横顔を眺めながら小さい声で問いかけた。


