シュガーコート



 わたしはゴツゴツした幹に手を沿わせながら、ゆっくりゆっくり、腕を伸ばす。

 指先がちょんと佐藤くんの手か腕かに届くと、すぐに手全体が温かい体温に包まれる。

 すりすりと手の甲を撫でられ、爪の形をなぞられる。そして、わたしの指と指の間にそっと佐藤くんの指が絡んだ。

(こ、恋人繋ぎまで、していいなんて言ってない……!!)

「しあわせすぎて死にそう」

 ポツリとこぼされた言葉は、ほとんど吐息に混ざって消えた。

 顔なんて当然見られない。わたしは木に顔を埋めたまま、ただひたすらその柔らかな温度に翻弄されていた。

 しばらくすると、佐藤くんが手を引いて木にへばりついたままのわたしを引っぱり出した。

「ちかちゃんと手、繋いじゃった。うれしい。ありがとう」

 ふわりと笑う佐藤くんの頬はピンク色をしていて、きっとわたしも負けないくらい顔が赤くなっているんだろうと思う。

 大きく鳴り続ける心臓の音をごまかしたくて、わたしは適当に話題をふった。