「佐藤くん?」
「ちかちゃんのことが好きすぎておかしくなりそう」
「え」
「オレはね。この場所も好きじゃなかった。オレを縛りつけるものの一部だから。いい思い出もない。でもちかちゃんはそんな場所を一瞬で特別なものに変えてしまう。この場所がオレにとって幸せな思い出の一部になる。ありがとうちかちゃん。ちかちゃんのことを好きになってほんとうによかった」
そう言う佐藤くんの声は少しかすれて、どこまでも甘い。わたしは佐藤くんの言葉の意味をゆっくりと理解して、あまりの恥ずかしさに近くの木の後ろに身を隠した。
(どうしよう。心臓の音)
「ちかちゃん、」
(聞こえちゃう……!)
木の幹の向こう側で、佐藤くんがコツンと額を木の肌に当てる音がした。
「手繋ぎたい……です」
それはもはや懇願だった。


