シュガーコート

 佐藤くんに導かれて入った小径(こみち)の先には、大きなガラス張りの建物があった。そのなじみのない外観にわたしは思わず足を止めてしまう。

(なんだろう。見たことのない木や植物がある。もしかして)

「ここって……温室?」

「そう。うちが管理してる」

 佐藤くんはあたりまえのように鍵を取り出して中に入った。そして室温やらなにやらを確認してからわたしを手まねく。

「えっ。入ってもいいの?」

「あたりまえだよ。そのために連れてきたんだから」

 幻想的な花々をバックに佐藤くんが笑う。

 その画がなんだかきれいすぎて、非日常を感じさせる。

 なかなか入り口をくぐることができないわたしのそでを佐藤くんが優しく掴んで引く。

 この世から切り取られたような異世界に一歩踏み出すと、ふわりと暖かい空気がわたしを包み込んだ。