いつもより少し低い、真剣な声。わたしは魔法にかかったかのように頭がまっ白になる。
じわじわと顔が熱くなるのに反して、背筋は追いつめられたようにひやりとする。心臓がバクバクしすぎて言葉が全然出てこない。
『――ふふ。ごめんねちかちゃん。友達なんていうからちょっとイジワルした』
「へあっ?」
突然いつものトーンに戻った佐藤くんにわたしはすっとんきょうな声をあげた。そしてあのカラカラ笑う声がしたあとに、優しくて柔らかい声が耳に響いてくる。
『友達じゃ嫌だ。……オレのこと好きになって? じゃあおやすみ、ちかちゃん』
「うっ。おや、すみ」
通話が終わる。わたしはバフンッと布団に顔を沈み込ませた。
(いまのはやばいやばいやばい――ッ!!)
そのまま布団に絡まってジタバタするわたしを見たお母さんが
「あら千花。青春ねー♡」
と茶化してくるのも相手にできないくらい、わたしは自分の心臓の音に参ってしまっていた。


