シュガーコート



『オレじゃダメ?』

 脳内で唐突に以前言われた言葉が再生される。

 ダメではない、のだと思う。だってすぐにNOが言えなかった。失恋直後でヤケになっていたとそういうのではない。おそらく、純粋にあの告白にときめいてしまったのだ。

「うそ、わたしって単純すぎない?」

 なんだかあまり信じたくない事実に気づいてしまった。気を取り直して走りに集中することにする。

 ランナー用のコースをぐるぐる回ってから、最後は全力坂道ダッシュ。その後ゆっくりクールダウンをかねて公園の出口に向かう。

(ふー、走った走った。のど渇いたなあ)

「はいどうぞ」

「あ、どうも……?」

 突然死角から差し出されたスポーツドリンクを反射で受け取ってしまった。

 わたしは相手を確認して仰天する。

「ちかちゃん♡ お疲れさま」

「おわーーーッ!?!?!?」

 そこには私服姿の佐藤くんがいた。