シュガーコート


 ――放課後。

 わたしは嫌なことを忘れたくて、無心で部活動に打ち込んでいた。

「ブロック! せーの!」

 バチンッと相手ボールをたたき落とす。

「千花! 決めろー!」

 双葉の声にこくりとひとつ頷く。わたしは深呼吸をしてボールを二、三回ついてから、サーブの動作に入った。

(大丈夫。わたしには、これがある。どんなにうまくいかないことがあったって、努力だけは裏切らない)

 何度も何度も練習したサーブが、相手コートに決まる。ピッとホイッスルが鳴り、次の大会に出るメンバーを決める試合が終わった。

「千花ナイスサーブ! メンバー入り確定だね」

「イェーイ」

 寝不足だしメンタルボロボロだけど、体は動く。嫌なことを部活に響かせないのはわたしのなけなしのプライドのようなものだった。