そう、最近の謙信は本格的に華道に取り組み始めたことで休日は稽古で忙しくしているのだ。
あんなに嫌がっていた家業に真剣になり始めたのは、本人が言うにはわたしの影響らしい。
「千花の一所懸命な姿を見てオレも変わらなきゃと思った」
とのことだ。それはいいのだけれど、二人の時間が減ってしまったことは事実。
(だから次のデートは久しぶりだし、記念日だし、ちゃんとがんばらなきゃ)
普段のデートといえば相変わらずわたしのジョギングからのお散歩だ。すると当たり前のようにわたしは運動着なわけで。
「さっき買ったワンピ、マジで似合ってたよ」
「そうそう。千花すらっとしてるから大人っぽく見えるし」
「ほ、ほんと? よかったあ」
学校で二人に根掘り葉掘り聞かれたときに「さすがにもうちょっと気合い入れれば?」なんて言われてギクっとしたけれど、やっぱりこの二人に頼って正解だった。
「服と靴とカバンはもう買ったから――あとなにがいるかな」
指折り数えるとデートには十分なものを揃えた実感はある。
おばあちゃんから貰ったお年玉がそろそろ尽きてしまうことを考えると、買うとしたらあとワンアイテムくらいだろうか。


