「さっきも言ったけど、わたし失恋してから先輩のことよりもひなたのこと考えてた。でもそれよりもっともっと、佐藤くんのこと考えてたよ。頭がいっぱいになるくらい」
「ちかちゃぁん……!」
ジーンと目頭が熱くなる。繋いだ手を両手で包み込んでちかちゃんに向き直る。
「自分の気持ちに気づくのが遅くなってごめん。……実はね、さっきここに来る前に告白されて」
「は?」
ピシリとオレの幸せな気持ちに亀裂が走る。
(告白? ちかちゃんに? 誰だそいつは)
急激に冷えていくオレの心中を察してか、ちかちゃんは焦ったように首をブンブン振る。
「もちろん断ったよ! よく知らない人だったし……それになんかちょっと怖かったし……」
尻すぼみになっていく言葉は聞き捨てならないものだった。オレは改めてちかちゃんの両肩に手を置いて言う。
「これからはオレがいるから。必ずオレを頼って。分かった?」
「う、うん」
「相手は?」
「藤井くん」


