「い、いいの? だってちかちゃん、いまからオレの彼女ってことだよ?」
「うん。佐藤くんの彼女になりたいです」
「ど、どうしたの急に!!」
これは夢だ。間違いない。現実のちかちゃんはそんなこと言わない。自分に都合のいい夢だ。
現実はそんなに甘くないと散々思い知らされた。
ちかちゃんのことを好きになってすぐに気づいた。ちかちゃんには他に好きな人がいることを。ちかちゃんの恋の相手は見た目も中身も超絶魅力的な先輩だった。
だからこの気持ちは一生隠し通そうと思っていた。ちかちゃんが幸せならそれでよかったからだ。
同じクラスで同じ授業を受けて、ちかちゃんの姿を毎日見れるというだけでもう十分だった。
告白だって玉砕覚悟の上だった。あのときちかちゃんの目から涙が落ちるのを止めたくて、なんの飾り気もないとにかく捨て身のようなものだった。
なのに、ちかちゃんはオレの気持ちに応えてくれるという。
「あの、先輩のことはもういいの……?」
それを問うのは勇気が必要で、思ったより小さい声しか出なかった。
そんなオレにちかちゃんは笑顔で頷く。


