茜色のひかりが水たまりに映るのを視界の端でとらえる。
手を繋いで帰りながらそんな昔話をすると、ちかちゃんは目を白黒させていた。
「え! あのときの遅刻ギリギリくんが佐藤くんだったんだ。ホントいま思い出した。印象ちがうから全然気づかなかったよ」
「だろうねえ。あのときのオレはほんとうに暗くて卑屈だったから。……ひとの目を見るのが怖くてずっと前髪伸ばしてたし。ちかちゃんはずっと変わらないね」
「それってどういう意味?」
口を尖らせるちかちゃんにオレは身を寄せる。
「ずっとオレが好きになったちかちゃんのまんまってこと」
ちかちゃんの笑顔が陰るのが耐えられなかった。二年になって念願の同じクラスになれたと思ったら、ちかちゃんは恋に行き詰まっていた。
おかしいかもしれないけれど、失恋して泣きそうになっているちかちゃんを見てもっと好きになった。
だってあの明るくて友達が多くてエネルギッシュなちかちゃんでも、涙が出るほどうまくいかないことがあるのだと思うと、親近感がわくのと同時に安心したのだ。


