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それは中学の入学式を終えた翌日だった。
朝、いつものように鳥の鳴く声で目を覚ます。
そしてしばらくぼうっとしてから、寝間着にしている浴衣の合わせに手を通し、枕元に畳んである制服に着がえる。
姿見の前でで身なりを整えていると、床の間に生けられた白い花が水をかえろと言わんばかりにこちらをじっと見つめていることに気がついた。
がらんとした和風の寝室は、朝露に湿った畳の香りが充満している。まるでこの家にただよう雰囲気そのものだ。
オレは格子窓を開けて新鮮な空気を吸った。
(学校、行きたくないな)
小学校で良好な人間関係を築くことができなかったオレは、すでに楽しい中学生活を諦めていた。
変わっている、親の七光り、ノリが悪い。そんな陰口はもう聞き飽きている。
それでも一日中この家にいるよりは、学校に行く方がマシだ。


