オレとあの子は似ていた。ほんの少しだけ。努力の方向やちかちゃんに執着していたことが。
だからオレもちかちゃんにああいう風に突き放されるのかもしれない。優しく、丁寧に、残酷に。ならばそうならないように努めるだけだ。
「ちかちゃん。好き。大好き」
ちょうど顎の下にあるちかちゃんのうなじに頬をすりすりすると、ちかちゃんはしゅっと首を引っ込めて小さくなってしまった。
「なんで……」
「ん?」
「なんで、わたしのこと。どこが……す、好きなの?」
耳まで真っ赤になったちかちゃんが消え入るような声で問う。オレはちかちゃんの耳元で答えた。
「ぜーんぶ」
「嘘。だってわたしかわいくないし」
「世界一かわいい」
「性格わるいし」
「世界一いいの知ってる」
「成績も普通だし」
「ちゃんと部活と両立してて偉いよ」
「佐藤くんに好かれるようなことなにもしてない……」
なにも心配いらないのに、ちかちゃんの口からはネガティブな言葉がたくさん出てくる。
(こんなに好きって伝えても、理由がないと不安なんだな)
どんどん小さくなっていくちかちゃんの声に耳を傾けながら、オレは初めてちかちゃんに会った日のことを思い出していた。


