「や、やっぱり、しない……」
好きすぎて触れられないなんて、情けなさで消えてしまいたい。思い返せば初めて手を繋ぐのだって、ちかちゃんに許しをもらってから差し出された手を取るのがやっとだったのだ。
もじもじモゴモゴと縮こまるとちかちゃんが隣でぷっと吹き出すのが聞こえた。
「そんな顔もするんだ」
「ま、また今度」
「ダメ。いまがいい。お願い」
そう言うちかちゃんの肩は震えていて、オレはハッとする。
どういう形であれ友達を失ったのだ。表面上笑っていてもこころは泣いている。ちかちゃんはいま支えを必要としている。
(ああ、オレのバカ。言わせるなんてかっこわる)
オレはそっとちかちゃんの肩を引き寄せた。ちかちゃんは黙ってされるがままオレに身を預ける。
それからちかちゃんはオレの胸に顔を埋めて泣いた。
その姿がいつもより小さく、幼く、脆く見えて、オレはこのままちかちゃんを包むだけのなにかになりたいと強く思った。


