シュガーコート



「ごめん、佐藤くん。わたしたちのことに巻き込んで」

「ううん。ちかちゃんかっこよかったよ」

「佐藤くんのほうこそ、ありがとう。ひなたのことを怒ってくれて……」

 くしゅんっとちかちゃんがくしゃみをする。オレはちかちゃんの隣に座って、冷えた体に寄り添った。オレも濡れてるから意味がないかもしれないけれどとにかくそうしたかった。

「ねえちかちゃん。オレ偉かったでしょ? 相手が嘘ついてるってすぐに分かったよ。ちかちゃんのことが大好きだから。ちかちゃんがするはずないことは分かるんだ」

「うん」

 存外すなおな返事が返ってくる。おや、と思って顔を覗き込むと、ちかちゃんはへにゃりと眉を下げて笑っていた。

「でも少しこわかった。二人が話してるのを見つけたとき……一瞬、二人が抱き合ってるように見えたの」

「え!? そんなことしてないよ!」

 オレが必死に否定するとちかちゃんは「分かってるって」とまた笑った。

「ありがとう。わたしのこと信じてくれて」

 そう言うちかちゃんの目元には涙の跡があった。泣いていないと思っていたのに、オレの気づかないところでいつの間にか涙を流していたのだ。