流れる涙はそのままに、ダンッと悔しげに拳で地面を打ちつける。
「どうして! どいつもこいつも! バカみたいにっ――『良い人』なの!! うあああああぁ!!」
最後の方は消え入るような叫びだった。
しゃくり上げながら泣く彼女の背中を、ちかちゃんはしばらくトントンと撫でていた。
雲の切れ目から淡いひかりがさす。大粒の雨は霧雨に変わり、オレたちを包み込んでいた。
「ねえ、ひなた。わたしたち少し距離をおかない?」
ちかちゃんが掠れた声で言った。その目は遠くの空を見ている。
どこか吹っ切れたような清々しささえ感じる表情で、ちかちゃんは続けた。
「いままでずっとそばにいて、お互いに息苦しかったよね。少し、友達おやすみしてみない? また友達になれる日まで」
「なんで……わたしのこと嫌いにならないの?」
涙の跡が残る顔で呆然とちかちゃんを見上げる彼女に、ちかちゃんはあっさりと「いまのひなたは嫌い」と返す。


