極めて穏やかなちかちゃんの言葉に、彼女は肩をブルブルと震わせ始めた。そして堰を切ったようにしゃべり出す。
「わたしだって、わたしだって先輩とつき合ってからずっとずっと千花ちゃんのことばかり考えてた! なのに、なのに玉之江先輩はっ」
ぐしゃぐしゃと濡れた髪を掻きむしりながら、彼女は悲痛な声を上げた。ちかちゃんはそばに膝をついて黙ってその様子を見つめている。
「最初は千花ちゃんの好きな人だから近づいた。千花ちゃんの好きな人をとってやりたかった。それでやっと千花ちゃんと平等になれるから。でも先輩はそんなこと知らずにわたしを……好きって。もう、ダメ、別れないと。胸が痛んで張り裂けそう。どうにかして、わ、別れなきゃって。でも、でも」
ボロボロと彼女の目から涙があふれて落ちた。それと同時に、彼女は体を折り曲げて、冷たいコンクリートに額を擦り付けた。


