"それ"は桜だった。


大きくて、少し吹いてる風に揺られながら桜の花びらが舞っていた。


まさか、こんないい桜がみれるなんて思ってもなく、私はポケットからスマホを取り出し写真を撮ろうとした。


その時―――


―――ドンッ


「ぅわ!」「きゃっ!」


誰かとぶつかってしまった。


「あ、ご、ごめんなさい!」


とっさに頭を下げて謝ったけれど、なかなか返事が返ってこない。