「お休みなさーい」 いつものようにお母さんにお休みの挨拶をして布団の中に入る。 布団の上で寝返りを打つたび、布団の擦れる音が部屋の中に響き渡った。 それを聞きながら私は今日あった出来事を考えていた。 (これで何回目だろう) 電気を消した部屋はとても暗く、月明かりだけが部屋に漏れていた。 少しするとその暗さにも慣れ、多少は見えるようになった室内を寂しげな表情でぼーと見つめる。 (もう誰も知らないところへ行きたい…) そう思いながら目を閉じた。