踵を返し、スーパーへと向かう。今いる場所からスーパーまでは歩いて十五分ほどで着く。

煮干し、そしてみんなで食べるお菓子を買って家へと向かう。敦さん以外のみんなはもう帰って来てるかな？それともまだ仕事かな？考えるだけで胸が弾む。

健吾さんに課題のわからないところを教えてもらう時、凪さんにヘアアレンジをしてもらう時、敦さんの書いた小説を真っ先に読ませてもらう時、結翔くんと料理やお菓子を作る時、何気ない日常のはずなのに心臓がうるさいくらいに高鳴ってしまう。

この気持ちってーーー。

私の頰が赤く染まる。早く家に帰りたい。早くみんなの顔を見たい。そんな思いから駆け出そうとした。その時だった。

「このクソ女！！」

そんな怒声と共に私の体が突き飛ばされる。手に持っていたエコバッグが飛んでいき、煮干しやお菓子がアスファルトの上に散らばった。突き飛ばされたことで私も地面に倒れ、膝に痛みが走った。

「いた……」