四季くんの溺愛がいくらなんでも甘すぎる!

「あそこ入ろう」

駅前からもそう遠くない、大通りに面しているファミレスの駐車場に海斗さんは車を停めた。

ハンバーグとステーキがおいしいファミレスで、
サラダバーも充実してるから、夕凪とも来たことがある。
でも、高校生が頻繁に利用できる金額設定ではないから、テストが終わっただとか、何かにかこつけて来るって感じのファミレスだ。

「わーい。かいちゃんの奢りー?」

「当たり前だろ」

「さすが大人!」

「いやこいつのほうが金は持ってんだろ」

海斗さんが四季くんを顎でしゃくった。

四季くんは「やらしい大人」って言いながら車を降りた。

ファミレスの中はちょっと肌寒いくらい冷えていて、外との温度差がすごい。

夏休みだし、日曜日だから三十分くらい待って、私達は席に通してもらえた。

…んだけど、通された六人まで座れる広いテーブル。

通路を挟んでその隣の二人掛けの席に座っていたのは、
夕凪とみのりちゃんだった。

「あれ…シュリ!?」

「二人とも…来てたんだ…」

「うん。今日ね、一緒に宿題するんだ。シュリはお泊まりだって言ってたから誘わなかったんだけど。すっごい偶然!」

すでにソファに座っている四季くん達を振り返った。
四季くんが皐月くんに「席、変えてもらう?」って囁いたのが聞こえた。

皐月くんは首を横に振った。

夕凪もちょっと気まずそうな顔をしている。

なのに、みのりちゃんだけが笑顔を貼り付けて、立ち上がった。