「あの、海斗さん。今日お仕事は…?」

「休みだけど?」

「休み…」

ヤクザさんにもお休みの日とかあるんだ。
そもそもあちらの世界の概念や常識が不明だけど、
ヤクザさんにも出勤とか欠勤とかあるんだろうか。
有休………は、さすがに無いよなぁ。
そもそもヤクザさんって給料制なの?

「シュリ?どうした、眉間に皺寄せて」

四季くんに眉間を人差し指で押さえられた。
そんなに悩んでる自覚はなかったんだけど。

「ねー、ごはん行かない?お腹すいちゃった」

「皐月、なに食べたいの?」

海斗さんが皐月くんに聞いた。

海斗さんの雰囲気や、黙認している四季くんを見ていると、
やっぱり皐月くんは末っ子の立ち位置なんだって思う。

皐月くんは四季くん絡みで私にいじわる言うときもあるけれど、
根がわがままなわけじゃない。

嫌なひとでもないし。

それでも皐月くんを甘やかしたくなる気持ちはちょっと、分からないでもない。
先輩なのに、不思議なひと。

「なーんか味の濃いものが食べたいかも。くちが甘い」

「そんなもん舐めてるからだろ」

海斗さんが皐月くんのくちから棒付きキャンディーを引き抜いた。
なんの躊躇もなく、パクッとくわえる。

「あま」

え…?って思ったけれど、誰も何も言わないから声には出せなかった。

付き合いが長いとこういうものなの?
女子同士でもそんなことあんまりないけど…?