「ほんと、二人は仲がいいなぁ」

ゆっくりと残りの段数をおりてきて、
柳瀬先生はニコニコと四季くんに笑いかけた。

「なんですか、柳瀬先生」

「そんなかたい呼び方しなくていいのに」

「教師と生徒ですから。当然です」

きっぱりと言った私を意味深な表情で見て、
柳瀬先生は四季くんに言った。

「二人って学園でも相当噂になってるカップルだよね」

「さぁ…噂とか興味ないんで知らないですけど。だったらなんですか?」

「大変でしょ?君くらいモテると、大切な彼女を守るのも」

「教師とは思えない下世話な発言ですね」

「教師も人間だし、男だからね」

「職務中ですよ?」

「…あっはははは!普段の穏やかな君からは想像できなかったよ。星乃くん、イイ目をするね」

ニヤッと口角を上げる柳瀬先生を、
四季くんは目だけで殺せそうなくらい、鋭い目で見ている。

ふと、その目に海斗さんの面影を見た気がした。