「でも皐月とのこと、応援したかったんでしょ?」

「私の言い分はそうだけど、正しいのはみのりちゃんだよ。勝手に好きなひとの前で自分のこと喋られたら不愉快だと思う。みのりちゃんにとって私は友達…じゃないし…気持ち悪いと思う。みのりちゃんが言ったみたいに、私が四季くんの彼女で、皐月くんとも繋がりがあるから優位に立った気でいるんだって思われてもしょうがないよ…。それに皐月くんの気持ちも無視しちゃってるし」

「いさせてもらってるのは俺のほうだよ」

「え?」

「シュリの彼氏でいさせてもらってるのは俺のほうだよ」

「そんなこと…!四季くんは人気者で完璧だし、性格だってすっごくいいのに私みたいな子にはもったいないよ…」

「俺のだいじなひとをそんな風に言わないで」

困ったみたいに眉を下げて、口角だけで笑う四季くん。
寂しそうな表情をしてる。

「保健室で会った日。シュリは俺を救ってくれたんだよ」

「助けてくれたのは四季くんでしょ?手当てまでしてくれたし」

「そうじゃなくて。今日からはシュリのために生きるんだって思ったから、死なずに済んだ」

「なに言ってんの!ほとんど初対面だし、それに他の子だったらその子と付き合ってたかもしれないじゃん。っていうか初対面でそんな風に思えるなんて変だよ」

「運命、ってバカみたい?」

「運命?」

「そ。なんでか分かんないけどさ、この子だ!って思っちゃったんだよね。俺の寝顔をジッと見下ろして、きれいって呟いたの、覚えてる?」

「そんなこと言ったんだ…」

「うん。きれいって言ったまま、シュリの静かな呼吸音が聞こえてた。どのタイミングで目を開けようって、でも心臓がバクバク鳴ってるし、我慢できなかったんだ」

「そうだったんだ…」