四季くんの溺愛がいくらなんでも甘すぎる!

「わー。喧嘩?」

みのりちゃんの後ろから声がして、俯けていた顔をパッとあげたら、皐月くんと、その後ろに四季くんがいた。

「え、若葉先輩…」

「みのりちゃん、だよね?」

「え…あ、はいっ!覚えててくれたんですか!?」

「この人がこの前言ってたから」

この人、って言いながら、皐月くんは私に棒付きキャンディーを向けた。

「言ってたって…何を…」

「なんだっけ?可愛い女の子だよねとかそんな感じ?」

みのりちゃんが私を振り返った。
眉間に寄せた皺が少しずつ、うすくなった。

夕凪がゆっくりと背中をさすってくれている。
その手がなかったら、たぶん私は泣いていたかもしれない。

「みのりちゃん?」

四季くんが皐月くんより一歩分、前に出た。

ちょっと腰を曲げて、みのりちゃんと視線を合わせる四季くん。

心臓がドクッて鳴った。

視線を逸らして、耳元に近づいた四季くんは、
当事者の私達にだけ聞こえるくらいの声で言った。

「俺の彼女、いじめないであげて?」

数秒、視線を泳がせたみのりちゃんは、バッと皐月くんを見て、走って行ってしまった。

「みのり!」

「夕凪…!」

「あー…、シュリ、大丈夫だから!あんたも早く帰んな!」

「風紀ちゃん、お世話ばっかで大変だねー」

「皐月、茶化すな」