四季くんの溺愛がいくらなんでも甘すぎる!

「なんかよく分かんないけどシュリちゃんは自分の心配すれば?夏休み、補習になったらしーちゃんのこと、もらっちゃうから」

はい。ごもっともです。

八重歯を見せてニッと笑う皐月くんは、本当にやりかねない。

皐月くんにみのりちゃんをアピール作戦。
うまくいかなくてごめんって心の中で謝った。

皐月くんのことだってよく知らないくせに、
人様の恋に協力しようなんておこがましかったかな…。

「しーちゃん、夏休みさぁお泊まりしようよ」

「どっか行きたいの?」

「ううんー。しーちゃんちで」

「俺んち?」

「うん。かいちゃんも一緒に!」

「かいちゃんって…」

「かいちゃんはかいちゃんでしょ」

「海斗のことだよ」

皐月は怖いなーって言いながら、四季くんが私に微笑みかける。
もちろん、皐月くんの鋭い視線付き。

そっか。
四季くんと皐月くんは幼稚園の頃からの幼馴染だもん。
海斗さんとも親しいよね。

「んー、じゃあ父さん達に聞いとく。シュリも来るよね?」

「えー。シュリちゃんもー?」

「シュリが来ないならお泊まりは無し!」

「…しょうがないなぁ」

「いや…私は…」

そんな状況、どう考えたっておかしいよ!

男性三人のお泊まり会に混ざる勇気なんてあるわけないじゃん!
彼氏とヤクザさんと、私の彼氏溺愛マシーンとお泊まり会!?
そんなのひとりで外で寝ろって言われたほうがたぶんマシ…。

「拒否権はないよ?」

鞄の持ち手をギュッと握り締めたまま四季くんを見たら、
頬杖をついて、きれいに弧を描く口角。

うぅ…。
その表情に弱いんだから…ずるいよ。

「だからシュリ。明日のテスト頑張ってね?」

「あーかーてんっ!あーかーてんっ!」

「皐月?」

「ふーんだ!」

赤点で補習は絶対に嫌だけど、お泊まりを回避できるならそのほうがいいのかもしれない。
でも四季くんにとって恥ずかしい彼女にはなりたくないし…。

でもでも、ママがお泊まりなんて許さないかも!?
そうだ、その手があった。

ちょっとだけ回避できそうな理由が見つかって、
ホッと胸を撫で下ろした。