「海斗も皐月も、俺が本気だなんて信じてなかった。でも俺は本気だった。シュリには寂しさや苦しさを紛らわせるために一緒に居るんだって思われたくなくて必死だった。シュリといたらやさしい人間になれた気がして、心からひとを愛せることがどんなに幸せなことか、シュリは教えてくれた」

「最初は寂しさを紛らわせるためだったとしてもいいよ」

「そんなこと!」

「それでもいいの。私だってそのときの私が出会った瞬間から四季くんを好きだったかなんて分かんないよ。でも今の私達のことならはっきり言えるでしょ?私も四季くんも、もう二人じゃなきゃダメだよね?」

「当たり前だろ」

ギューって、加減なんてしてくれない、四季くんの大好きなハグ。

伝わってくる四季くんの体温。
私達は一緒に生きてる。

過去が都合よく消せればいいのにって、もう何度願ったか分からない。

でも過去は取り消せない。

消したかった過去を思い出して、また傷ついたって意味なんかない。

大嫌いだった過去の先に、今の私達がいるのなら、
一緒に抱えて生きていく。

隣にあなたが居てくれるだけで幸せだって、笑えるようになった私達だから。

「また今度ことりさんが現れても絶対に信じて欲しい。俺は絶対にシュリから離れない」

「不安なの?」

「不安?」

「私が四季くんを信じてないみたいで」

「…怖いんだよ。シュリを失うことが」

「大丈夫。四季くんこそ信じてよ。絶対に離れたりしない」

「ありがとう、シュリ。愛してるよ」

「ん…」