四季くんの溺愛がいくらなんでも甘すぎる!

なんでそんなだいじなこと忘れてたんだろう。

あれからも二、三日は巻いてたはず。
いつの間にか外されていたし、付き合ったばっかりの頃は頻繁に会ってたわけじゃないから。

「ココ」

四季くんが左腕の、手首よりちょっと下をさすった。

言われなきゃあえてジッとは見ないくらいのうすい、灰色っぽい線。

こんなに一緒にいるのになんで今まで気にしなかったんだろう。

自分が満たされていることで、目の前のことだけを愛してきた結果だと思った。

はっきりと感じる四季くんからの愛情に私は浮かれていたんだ。

「順番に話すね。俺のこと」

「うん…。大丈夫?」

「聞いて欲しい。あいつが何をしてきても、シュリには俺達は大丈夫だって信じてて欲しいから」

「うん。分かった」

「ことり。佐野ことり。あのひとの名前」

「可愛い名前」

「名前は、ね」

意味深に笑って口角を上げた四季くん。

緊張していた私はベッドからおりて、
テーブルの上に置いていたティーカップの紅茶を飲んだ。

そのままそこに座った。
四季くんもベッドに座ったまま動かなかった。