四季くんの溺愛がいくらなんでも甘すぎる!

「なんで知ってんの」

「保健室で私達が出会ったとき。四季くん、つけてたでしょ?」

「そうだったっけ…。でも、もう捨てたよ」

「未練あるんじゃないの…」

「シュリ、いじわる言わないで?本当にもう捨てたんだ。俺の心を好きにしていいのはシュリだけなんだよ?」

やきもち。
四季くんは私の過去を受け入れてくれたのに、
私はすんなり、理解したフリすらできなさそうなくらい、四季くんみたいに大人にはなれない。

「教えて欲しい…あのひととのこと。ちゃんと知りたい…」

「ん…。そうだよね。シュリも過去を教えてくれたからね。あれは…そうだなぁ。正直、付き合ってた時期までを黒歴史とは言わないけど…その頃はちゃんと好きだったしね?」

「…」

「あー、ごめん、今は本当に違うからね!?そりゃ好きだから付き合ったんだし………あー、もうほんとごめん」

「いいよ。私だって柳瀬にそうだった。過去だもん」

「うん…ありがと。でもさ、別れた瞬間の俺は、控えめに言って、人生最大の汚点」

そう言って歪んだ四季くんの表情を見た瞬間に、ふと、ある光景が脳裏をよぎった。

私は忘れていたことがある。

さっき見たブレスレットが印象的だったせいで、
もっとだいじなことを忘れていた。

「四季くん…あの日、ブレスレットしてたほうの手首に、包帯…」

「うん。思い出した?」