四季くんの溺愛がいくらなんでも甘すぎる!

「ね、皐月くん」

「んー?」

「その…海斗さんのことは…?」

「うん」

皐月くんがにっこり笑ってる。
その一言で全部が分かって、私も自分の顔がほころんでいくのが分かった。

「かいちゃんさ、こわいんだよー」

「なんで?」

「女なんかにうつつ抜かせないように分からせてやるって、もう毎日ヘトヘトだよ」

「ちょ…」

「お前、シュリに変なこと聞かせんなよ!」

「かいちゃんが女の子と幸せになれって言ったくせに酷くない?」

「もういいって!」

四季くんが立ち上がって、手のひらを差し出してくれる。

その手を取って私も立ち上がったら、
皐月くんが「いいね、それ。お姫様みたい」って笑った。

この学園にいる限り、絶対に柳瀬と関わらないでいることはできない。

それでも不思議ともう怖くなんかない。

四季くんと皐月くんが作ってくれた「武器」があるからかな?

それよりも二人の存在がずっと大きいんだけど。

過去の亡霊にはもう縛られない。

私はただ、一日でも早く柳瀬の中からも私が死ぬことを願った。