四季くんの溺愛がいくらなんでも甘すぎる!

「たっ…頼む…!内密にしてくれ!なんでもする…星乃の言う通りにするからッ…!」

情けな…って呟いて、皐月くんは柳瀬にスマホを向け続けた。

「俺達、服装とかじゃなくて引っかかったものがアレだからすぐに改善できないんですよねー。あー…これじゃあ合格の署名はもらえませんね?」

「する!するに決まってるだろっ!星乃のも、シュリのもッ…」

「シュリ…?」

「みっ…三神…」

冷たい目で柳瀬を見た四季くん。
怒りや悲しみの感情すら消えてしまったみたいに、「無」だった。

「しーちゃん、それだけで許しちゃうわけじゃないよね?」

「もちろん。じゃあ柳瀬晴陽先生、このカメラに向かって誓ってください。二度とシュリに近づかないって」

「…」

「さつきー、だめみたい。淫行やめれないって」

「まっ…待って!誓う…誓います!二度とッ…三神シュリさんに近づきません」

「せーんせ?」

「若葉…?」

「この動画がずーっとぼくのスマホに残ってること、忘れないでくださいね?…あんたの家庭も人生も壊すことなんて簡単なんだからさ?ここで見逃してあげたことに一生感謝して生きてけよ?」

「は…ぃ………」

「柳瀬先生」

床から立ち上がれないままの柳瀬を見下ろす私の声に、柳瀬はビクッと体を震わせた。

「私の中であなたはとっくに死んでるんですよ。地縛霊なんて鬱陶しくてしょうがないから、さっさとあの世にいってくれません?」

ポケットから出したプリントを皐月くんに渡して、先に生徒指導室を出た。

ドアを閉めて、壁に背中をつけたとき、
ふっとちからが抜けてズルズルと床にへたり込んでしまった。