四季くんの首に腕を回して、私からキスをした。

背中に回された四季くんの腕。
もう十分密着してるのに、グッと引き寄せられる。

「私は四季くんだけだよ」

「当たり前じゃん。柳瀬に気持ち戻ったりしちゃだめだよ」

「するわけないよ。四季くんと比べるのも失礼すぎるし。四季くん…」

「ん?」

「私のこと信じてくれる?」

「信じてるよ」

「本当に柳瀬とはもう何もないから」

「分かってる。むしろ今すぐボッコボコのバッキバキにして再起不能にしてやりたい」

「なにそれ」

小学生みたいな四季くんの言い方にクスクス笑った。

「嫉妬してる」

「嫉妬?」

「シュリのだいじなことぜんぶ、あいつに奪われたこと」

「ん…。じゃあぜんぶ、もっと四季くんで上書きして、ぜんぶ消して…」

ゆっくりとベッドに押し倒された。

あいつの記憶のカケラが目に見えていて、
四季くんが愛してくれるたびに目の前から消えていけばいいのに。

目に見えないものが消えた証拠なんか証明できなくて、
あいつを本気で好きだった自分が悔しい。