週明けの月曜日。

大嫌いな数学の時間。

夏休み前の期末テストが終わったばっかりなのに数学の小テストをするって先生が言って、教室中がザワザワと騒がしくなった。

期末テストの数学の平均点が、学年全体で低かったから、らしい。

最悪…。
中学の頃から数学の成績が致命的に悪くて、
受験の時だって死ぬほど勉強してどうにか…って感じだった。

もちろん期末の順位だってたぶん下から数えたほうが早い。

成績上位者は職員室前に名前が張り出される。
四季くんは三年生の中で二位だった。

その名前の写真を撮ってる女子までいた。

「先生、その小テストの結果って…」

聞いた夕凪に、先生が「夏休みに補習よ」って言った。

教室の喧騒は大きくなった。

夕凪が眉間に皺を寄せて、私のほうを振り向いた。

夕凪は成績優秀だ。
心配することなんてなにも無い。

あれは完全に私の補習を案じている顔だ。

私だって、そう思う。

チャイムが鳴って、先生が教室から出ていく。

夕凪が私の席に来て、トンって肩に手を置かれた。

「ちょっとシュリ、マジで早退とかしてる場合じゃないからね?」

「分かってるよぉ…」

「成績もだし、内申点にも響くよ?」

「だーから分かってるってば…」

「はー…。星乃先輩は勉強教えてくんないの?」

「四季くん?」

「頭いいじゃん。教えるのもうまそうだし」

「うーん。そうだね、聞いてみようかな」

「あんた達が真面目に勉強するとも思えないけど」

「そんなことないよ!」

とは言ったけれど、
集中して勉強するとは確かに思えない。

私が、教科書を広げたらムリだと思う。
学校以外で勉強なんて…地獄だ。

「とにかく、補習になったらそのほうが最悪なんだから。いい?」

「はーい…」