四季くんの溺愛がいくらなんでも甘すぎる!

車を走らせながら海斗さんは何回かハンドルを人差し指でトントンってした。

なんとなくだけど、海斗さんも焦っているのかなって思った。

「海斗さん」

「ん?」

「皐月くんから聞きました。別れ話?のこと」

信号待ちだった。
海斗さんは赤に光る信号をジッと見ていた。

「そっか」

「それで自暴自棄になった皐月くんは私に…その、イケナイことしようとしたんです。その罪悪感から皐月くんは四季くんに正直に話しちゃって。四季くんはもちろん大激怒です。それで、さっき二人で飛び出して行っちゃって」

「皐月…バカだな…」

「私には皐月くんの存在がどれだけだいじか教えてくれたのに、なんで別れようなんて言ったんですか」

「だいじだから、だよ」

「え?」

「皐月のことがだいじで…愛してるからこそ幸せを願うのは変かな?」

「変です」

きっぱりと言った私を海斗さんはチラッと見た。
信号が青に変わる。
ゆっくりと動き出した車の中で、海斗さんは私の言葉の続きを待っていた。

「大人の事情とか、世間の恋愛がどうとかは分かんないですよ。経験豊富なわけじゃないんで。でも私は、大好きなら大好きなまま守り抜けばいいじゃんって思います」

「皐月がもっと大人になって、ひとと恋の話をするときに後ろめたい気持ちになっても?」

「なんで後ろめたいって決めつけるんですか?海斗さんは皐月くんにそういう感情を持ってること、恥ずかしいって思うんですか?」

「思わないよ」

海斗さんは即答したけれど、声が震えている。
ゴクって海斗さんの喉が鳴った。
涙を飲み込む音かもしれない。