四季くんの溺愛がいくらなんでも甘すぎる!

「ごめんね。しーちゃんにバレちゃった」

皐月くんが小さい声で言った。
体育館には私達しかいない。
どんなに声をひそめても、しっかりと私の耳に届いた。

「………え?」

「ぼくがシュリちゃんに乱暴したこと」

「私…乱暴なんて…」

「乱暴と一緒だよ。許されないことしたって思ってる」

「あの…それで、四季くんは?」

「当然だけどぼくのことすごく怒ってる。シュリちゃんのせいじゃないのに、たぶん頭の整理がつかないんじゃないかな…。本当にごめん…」

「なんでバレちゃったの…」

「ぼくが話したんだ」

「自分で!?なんで?四季くんには黙ってようって言ったじゃん!確かに皐月くんはイケナイことをしちゃったけど、皐月くんだって自暴自棄になってたと思うし、正しい判断ができなくなってた。本当なら…許しちゃいけないかもしれないけど…」

「黙ってられるわけないじゃん…」

「なんで…」

「しーちゃんのことが大切だから。シュリちゃん、気づいてないかもしれないけど、その気持ちはシュリちゃんも同じだよ」

「え?」

「ぼく、シュリちゃんのこともだいじな仲間だって思ってることに気づいたんだ。いっぱい、いじわるしてきちゃったけどね…。そんな人達を利用してかいちゃんのことを忘れようとしてた。ぼくがしたことって、犯罪なんだよ?女の子を襲おうとしたんだから。シュリちゃんが許してくれたって、ぼくは自分がしたことを許せなかった。このまましーちゃんのことを騙し続けてそばに居ることもできない。だから…」

私が許してしまったことで、皐月くんにもっと罪悪感を植えつけたのかもしれない。
私が許さなければ、もっと正しく皐月くんの行動を顧みていれば、ひとりで悩ませることはなかったのかもしれない。

「一緒に四季くんに話しに行こう?このままじゃだめだよ…」

「でもしーちゃんはもうぼくの話は…」

「そんな必要ない」

体育館の入口。
私と皐月くんに向かって投げられた声は、四季くんだった。