四季くんの溺愛がいくらなんでも甘すぎる!

「皐月くん!」

体育館には皐月くんしかいなくて、
私が呼んだのと同時に、皐月くんが放ったボールが綺麗に弧を描いて、ゴールリングに吸い込まれていった。

タン、タン、タンとリズムを刻んで、
次第に小刻みになって床で跳ねたボールは皐月くんに拾い上げられることはないまま、静止した。

「シュリちゃん?」

「すごーい!ほんとにうまいんだね」

「ほんとにって?」

「さっきね、皐月くん達の教室に行ったの。そしたら皐月くんのクラスメイトの先輩が、皐月くんはココだって教えてくれて。バスケがうまいんだよって言ってたの」

「教室に行ったの?」

「うん。四季くんを探しに」

「…見つかった?」

「ううん。先輩達も知らないって言ってた。四季くんどうしたのかな…。朝から一回も連絡が無いの。それにねっ…」

「うん?」

「始業式の前に体育館の脇で見かけたのに…たぶん、目を逸らされちゃったんだ…私、何かしちゃったのかなぁ…」

皐月くんが転がったままのバスケットボールを拾い上げて、体育館倉庫のカゴに戻した。

「倉庫、開きっぱなしだね」

「先生が換気するからその間なら体育館使っていいって」

「そうなんだ。皐月くん、四季くんって体調悪かったりする?」

「ううん。フツーだと思うよ」

「…どうしたの?なんか今日、絶対おかしいよね?なんで二人も一緒にいないの?」

「はは…いつも一緒にいるわけじゃないでしょ。シュリちゃんだって風紀ちゃんといつも一緒じゃないでしょ?」

「そうだけど…」

皐月くんが私の前まで来て、髪の毛に触れた。
毛先までスーッとなぞって、その手のひらはストン、っておろされた。

その行動に意味なんかなかったのかもしれない。

でも皐月くんの瞳にはいつもの無邪気さが無くて、
心臓がギュッとした。