四季くんの溺愛がいくらなんでも甘すぎる!

「海斗さんとちゃんと話そう?」

「無理だよ。かいちゃんって頑固なんだ」

「絶対にだめ。このままなんて許さない!私にこんなことしちゃうくらい心がおかしくなってたくせに平気なフリしないでよ!」

「シュリちゃん…満たされてるって思ってたものが急に壊れたとき、ひとってそんなに強くなれないんだよ…」

衝動、だったと思う。
頭で何かを考える余裕が無かった。

スローモーションみたいにゆっくりと皐月くんの頬を伝う涙を見た瞬間に、
私は皐月くんを抱き締めていた。

子どもをあやすみたいに背中をさすって、
大丈夫、大丈夫って言い聞かせていた。

「絶対に大丈夫だから。皐月くん…泣かないで…」

どれくらいそうしていたか分からない。

全然長い時間ではないと思うけれど、
皐月くんが落ち着くまでそうしていた。

大きく息を吸って、ゆっくりと息を吐いた皐月くんが腕を伸ばして私の体から離れた。

「情けないね」

「そんなことないよ。ちょっとはラクになった?」

「たぶんね」

「また何かあったらいつでも呼んでね?」

「しーちゃんに怒られちゃうよ」

「四季くんには話さないの?皐月くんの本音」

「しーちゃん、すごく怒ってかいちゃんに説教とかしちゃいそうだから」

「あはは…そうかも…」

「ひとに強く言われたからって戻ってくるようなかいちゃんなら要らない。気まずさとか罪悪感で繋ぎ止められるなら、ぼくの中からかいちゃんを消す努力をしたほうがマシだし」

「ん…。またツラくなったら話してね?」

「…ありがと」

「ううん」